2011年1月30日日曜日

不思議な生き物セッケイカワゲラ

 今の時期は、小さなユキムシ:セッケイカワゲラをたくさん見ます。ユキムシと呼ばれる昆虫は、主にアブラムシンの仲間とこのセッケイカワゲラです。アブラムシの方は、晩秋から初冬にかけて雪の到来の前に見られますが、セッケイカワゲラは今の時期から堅雪の頃にかけて山で見られます。体長は1㎝未満で黒く、成虫には羽はありません。雪の上を一心不乱に歩き続けています。
 極寒の今の時期でも雪の上を一生懸命歩いています。昆虫は、変温動物で寒い時期は活動できないものと思われますが、このセッケイカワゲラは違います。夏は、幼虫で休眠し真冬に活動しています。植物でもこのような変わり者があって、夏にははを落とし、冬に青い葉を茂らせ花を着けるナニワズがあります。生物には、常識を超えた生活史を持っているもがあり、驚きです。
 セッケイカワゲラが、雪の上を黙々と歩いているのは、沢の上流を目指して歩いているのだそうです。夏の休眠の間に下流に流されるため、産卵の場所に適した夏も冷たい水のある沢の上流に向かっているのだそうです。この虫は、低温には平気で逆に高温に弱く、手のひらで温めると痙攣をおこし動かなくなるそうです。
 この虫を尾根でも普通に見かけます。小さな体でよくこんな高い所まで登ってきたなと、感心してしまいます。餌は、有機質なら何でも食べるそうです。春を待って木々も動物もじっと耐えていると思っていましたが、こんな小さな虫が冬を盛りに活動しているとは。生き物の世界は、興味津々で不思議でいっぱいです。まさに、地球は奇跡の星です。

2011年1月26日水曜日

赤倉林道

 赤倉林道は、例年よりも大雪となっています。昨日と今日の天気で雪は大分締まって来ましたので、いくらかは歩きやすくなりました。このままですと、4月末までに林道の開通は難しいでしょう。ただ、3月は例年よりも暖かくなるとの予報ですので、雪融けも例年どおりになるかもしれません。
 新雪雪崩(表層雪崩)の心配がありますので、注意が必要です。南沢や赤倉沢には入りこまない方が安全です。これから4月中旬までは、尾根を利用してください。今日、門の股沢左岸の尾根を歩いてきました。かなりの大雪です。まだまだ表層雪崩が起きる可能性がありますので、急斜面では注意してください。林道で、かなりのユキムシ(セッケイカワゲラ)を見ました。小さな体で山の上まで登って行きます。キブシの蕾も伸びて来ました。寒い日が続いていますが、確実に春は近付いています。

2011年1月23日日曜日

春の予兆

 今年は、稀に見る大雪です。気温は、例年並みとなりましたが、雪は連日続いています。春を待ちこがれています。昨日、初めてギバサを食べました。
 寒中に秋田の仙北地方でよく食べられるのが、納豆汁とギバサです。ギバサとはアカモクのことで、褐色の海藻です。今頃のギバサが旬で、熱湯を通すと濃い緑色に変わります。これを包丁でたたき生姜醤油でいただきます。粘りがありもずくのような感じですが、仙北地方ではもずくは一般的ではなくもっぱらギバサです。
 納豆汁は、納豆をするか細かく刻み、塩抜きした山菜やキノコを入れたみそ汁です。冷めにくくとても体が暖まります。一年で最も寒いこの時期には、ぴったりの食べ物です。
 真昼山地は、深い雪に閉ざされじっと春を待っていますが、ギバサが店に出回ると寒さのピークで少しの辛抱で、立春です。ヒロッコ(アサツキやノビルの芽)も店に顔を出し、ギバサが粘らなくなり店からなくなると、本格的な雪解けが始まります。そうするともう春です。ギバサは、寒中に春の到来を予兆させてくれる食べ物です。

2011年1月21日金曜日

平山郁夫の薬師寺壁画

 東京国立博物館平成館で、「仏教伝来の道・平山郁夫と文化財保護」展が、開かれています。この展覧会では、薬師寺の玄奘三蔵院の壁画全点が展示されています。敦煌や中央アジアの仏教美術も素晴らしかったですが、この壁画には圧倒されました。
 中でも正面の西方浄土須弥山は、ヒマラヤの山々を描いたもので、紺碧の空に白い雪を頂いて聳える山々は、ただただ神々しいとしか言いようがないものでした。自然と心が静まり碧い空と白銀の嶺嶺に吸いこまれていきます。中央奥のかすかにベールのような雲のかかる嶺は、いつの間にか半眼の慈愛に満ちた如来の姿に変っているのです。思わず心の中で合掌し、時間を忘れ見入っていました。実際にお寺の中であったら、正に極楽浄土が見えることでしょう。
 ブリジストン美術館で、「なぜこれが傑作なのか」展も鑑賞してきました。中でもピカソの「腕を組んで座るサルタンバンク」は、一番の見どころでした。抽象画ではなく古典主義の具象画ですから、私にもわかります。私は、ピカソの青の時代の作品が好きですが、この古典主義の作品も気に入りました。
 連日の雪で、雪崩が心配で山には入っていません。今回の美術鑑賞で、溜まっていたフラストレーションが晴れ、雪が落ち着くのを待っていられます。雪が落ち着いたら林道を巡回する予定です。